BRIDGE TERMINAL SECIプレイスEvent Vol.12 20240307 片付けパパ対談シリーズ#18
「片付けパパ」こと 大村 信夫 さんが、旬なトピックでゲストと対談するシリーズ。
今回は『人と人を繋ぐ「ミツバチ」になる』大村さんの会社の同僚、中村さんも交えた鼎談です。『活かし合う関係性をデザインする』中村さんはで社内外で多彩な活動をされている方。Project MINT1ではコミュニティマネージャーを務めており、メインスピーカーの『人間の、良いも悪いも、まるごと愛す』加来さんとは一緒にワークショップを開催されたりしていて、ご自身のパーパスも加来さんに一緒に考えてもらったそうです。そんな「個人のパーパス」つながりなお三方に、なぜいま「個人のパーパス」が注目されるのか、お話しいただきました。
<KaKu KoKi>さん、ローマ字で書くとか行だけでできてるお名前だとわかります。奇しくも言葉で仕事をされている方を予感させるネーミング?「言葉遊びみたいな名前だったこともあり」(本人弁)タイムチケット2でネーミングの相談を受けていたところ話題になり今のお仕事につながっていったそうです。
ブランドアイデンティティの共創やインナーブランディングの支援をおこなう株式会社サインコサインの代表として、企業だけでなく個人のパーパスやミッションにも向き合い続けていらっしゃいます。
◆社名「サインコサイン」に込められた意味
(~タンジェントは付けない>v<)
会社名の「signCOsign」<サインコサイン>もしっかり構造化ができていてsign(パーパス)とsign(パーパス)がCO(共に)響きあえば無限の可能性を持つ、そのお手伝いを(共に)創っていくための方程式(”参画”関数)を提供する、という意味が込められています。この社名の説明、声に出して読んでみてください。ラップになってませんか♪ すごくない?
◆当日の様子
◆パーパスって何ですか
と大村さん。最近のビッグワードのひとつですよねパーパス。直訳すれば「目的」ですが正直なところよくわからんって方も多いかと思います。「これは絶対これですっていう定義があるわけじゃないけど僕の場合は、」と前置きされて加来さん、「ミッションとニアリーイコールだけれども(ミッションのうち)より社会的な大義があるもの」とお答えいただきました。なるほど!ライター個人的にはMVVとかいってMissionが先頭に来るのがいまいちしっくりこなかったのですが説を聞いて腹落ちしました。社会的大義を持つミッションの目的なんだと。
◆なぜ個人のパーパスなのか
前職セプテーニ3、そして現サインコサインで様々な企業のパーパスづくりに携わってきた加来さんが、なぜ個人にもパーパスが必要と考えるようになったのか、それは企業のアイデンティティやパーパスを考えるとき企業の中の”人”にもパーパスがありそれを意識することで社員が会社のそれをより深く理解できる判断基準になり、「自分ごと」として捉えられるようになる、と考えたからです。インナーブランディングですね。そしてタイムチケットでの「パーパスを探している個人」が多く居るという体験も個人のパーパスに向き合う覚悟を決めた要因となったそうです。
◆個人のパーパス、会社のパーパス
いまどきビッグワードとなっているパーパスですが、それって企業のことで経営者とかが考えることでしょうか。
「パーパスとは叶えたい理想を自分の言葉で表すもの」と考えると決して会社だけのものではなくて私たちひとり一人にそれぞれ持っていたい言葉。「そっか、各個人の人生自分が経営者ですもんね、人生の経営者。」と大村さん、いいこと言いますね。
そうやって個人のパーパスが出来上がったとするとでてくるのが、「会社のパーパスとどう向き合うのか」という問題です。ピッタリ同じならそれはハッピーだけれども、実際は違うことのほうが多い。そんな時でも、ちょっと似てるとか、同じ方向は向いてるな、とか、全然違うなら逆に相乗効果が見込めるのではないかと考えることで、その場所で働く動機に なるのであれば結果的にそれはインナーブランディングにつながっていくんじゃないか、と加来さん。
働く側には「自分」があってこそ会社をフラットに評価することができるし、会社側にしても社員ひとり一人にパーパスがある状態というのは意欲や主体性が高まることであり相互理解を深めることにもつながってくるのですね。
◆個人のパーパスはどうつくる?
これまで100社以上の 企業の理念、1000人超の個人のパーパスを一緒に作ってきた加来さんですから、誰でも自分でパーパスを言語化できる道筋があり、ワークショップを用意されているそうです。
パーパスはアウトプットとしては「言葉」にするもので掲げるものではあるけれども、「葉」という字が入っているように葉が茂るにはブレないことの例えにもある「幹」が重要で、それを考えるプロセスが大事だったりします。加来さんのワークではこのプロセスを4つのステップ(ワーク)で表出化していきます。
・ワーク1「あなたは誰?」
はじめに色んなところに散らばっていたり奥のほうに埋もれているあなたを表すことばを集めてきます。自分の棚卸ですね。最低でも10個は集めてきましょう。良いことだけでなく悪いことも漏れなく集めることを厭わずに。
・ワーク2「あなたから見たわたしは?」
このときの「あなた」とはあなた以外の他者のこと。他者から見た自分ということで上司や友人同僚から言われたことがあればそれを、なければ自分は他人から見たらこう見られている、という推測でもいいでしょう。それを長所と短所に分類します。
・ワーク3「あなたの隠れた才能は?」
才能とはなにも長所や得意、スキルだけではありません。短所もまたポジティブに転換することで才能になります。才能とは資質でありその人ならではの独自性です。この転換をすることで気づかなかった自分を見つけることができるのは不思議な体験となるでしょう。加来さんいわく、才能とは「自分らしさ」。それを3つのキーワードに置き換えます。
ここまでが料理でいえば食材集めと献立作りでしょうか。次はいよいよ調理です。
・ワーク4「言葉を調理する」
ここではなんと秘伝のタレととも言えるコトバの調理テクニック紹介を紹介いただいたのですが、、、あえてここでは紹介しません。ヲイ!ここまで読んでくれた方がっかりさせてごめんなさい。
これが企業とかの対外発信に使う言葉であれば専門的なテクニックやセンスみたいなものもプロの仕事として成り立つ部分ではありますが、大切なのは言葉をつくることが目的ではない、と加来さんはおっしゃいます。これまでのプロセスで自分のことばで考えた納得感がパーパスを言葉遊びではなく自分を信じる道しるべとして言語化することで言葉は言幹となり、実際のアクション(行動)を後押しするんですね。
◆あらためて個人のパーパスとは
唐突ですがみなさんは「青春」と聞いてどんなことを思い浮かべますか?
加来さんはたまたまある人から「加来くんって誰よりも青春してるよね」と言われたことがあって、どういうことなんだろうと思い青春という言葉の意味を調べてみたら「希望を持ち理想に憧れる時期のことを青春という」という定義が出てきたんだそう。
ならば「青春してる?」と問うことは「希望を持ち理想に憧れてるかい?」という問いと同義であり、会社がそれぞれの理想をかなえるための場所であるならば、パーパスとは「自分の叶えたい理想を自分の言葉で宣言するもの」と考えるようになったのだとか。いまでこそパーパスがそこかしこで語られるようになりましたがバブル前夜のあたりではまだまだ業績・売上・株価といった数字が正義の時代、希望だの理想だの会社でそんな「青臭い」ことを言うことが憚られる空気があり、ライターもどこかもやもやしていたことを思い出しました。でも今こそ人も企業もパーパスを「青春の道しるべ」として青臭く語っても良いのではないでしょうか。みんな希望を持ち理想に憧れてほしいし、会社だって人が営んでいることなんですから。
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◇らいたーずぼいす
私事で恐縮ですが青臭いもやもやの続き。そのもやもやを晴らしたくて、色んな人に話を聴き、本を読み、社外の学びに参加してみてはっきりしたことは、やっぱり事業で成功した人、偉業をなしとげた人、学問を究めた学者、皆言ってることは一つに収斂されるんです。青臭く、希望と理想を熱く語れ、と。時代がパーパスを呼んだのか時代がパーパスに追いついたのか、いずれにせよ今だからこそ「青春してる?」と問われているのだと思いました。
- *株式会社Project MINT(プロジェクトミント)は、「ひとりの可能性を信じ続け、美しいものを創る」というパーパスのもと、2020年に設立した大人向け教育サービス企業です。主要プログラムの「自己革新コース」などを通し、これまでに100名超の修了生を輩出しています。
https://www.projectmint.net/ ↩︎ - *タイムチケットは、個人の知識・スキル・経験をチケットにして売り買いできるスキルシェアサービスです。
https://www.timeticket.jp/ ↩︎ - *セプテーニは、インターネット広告代理店を主軸に、デジタルマーケティング支援サービスを国内外の企業向けに展開している会社です。
https://www.septeni-holdings.co.jp/ ↩︎
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◆登壇者の情報
加来 幸樹(かく こうき)さん
株式会社サインコサイン
代表取締役 / CO-CREATOR
1983年福岡県生まれ。九州大学芸術工学部卒。2006年セプテーニ新卒入社し、デジタルマーケティング領域におけるクリエイティブ職を歴任した後に2018年サインコサイン設立。「自分の言葉で語るとき、人はいい声で話す。」という理念を掲げ、多様なコミュニティメンバーとともに理念やパーパスの言語化をはじめとしたブランドアイデンティティの共創やインナーブランディングの実現を支援している。
▼会社紹介
https://speakerdeck.com/kakukoki/signcosign
▼各種リンク
https://bento.me/kakukoki
中村 美由紀(なかむら みゆき)さん
家電メーカー現役社員
中小企業診断士
ワークショップデザイナー
勤務先企業では経営管理・経営企画・新規事業開発を担当する他、社内複業として学びと成長の場づくりの企画を担当。中小企業診断士として中小企業やNPO法人の事業再構築計画策定、組織開発などの経営コンサルティングの他、スタートアップのコミュニティ運営、ワークショップ企画運営など、ビジネスプロセス構築からワークショップデザインまで幅広いフィールドで実践とリサーチを行っている
▼Project MINT
https://www.projectmint.net/
◆次回のイベント案内
あなたは「DQ(良識指数)」をご存じですか?
第19回目は、国際協力機構(JICA)サステナビリティ特命審議役の見宮 美早(けんみや みさ)さんから、
これからの時代のDQ(良識指数)とは?
~ IQ(知能指数)EQ(心の知能指数)に続く資質 ~
というテーマでお話を伺います。
見宮さんが、様々な国で活動された経験より、不確実性の高いこれからを生きていく中で大事にすべきは「DQ」なのではないか?ということを、対談形式で、さらにオンラインの方もチャットなどを交えながら一緒に前向きに考えていきましょう!
世界とのつながりや、自分や日本のありたい姿を一緒に考えるこの機会を、どうぞお見逃しなく!
詳細・お申し込みはこちらです(Peatixページに移動します)
https://taidan-20240404.peatix.com/
◆運営について
この活動は、NPO法人SECIプレイスの社会教育の一環としての位置付けでもあります。
運営メンバー(五十音順):青木千恵 青山純平 大崎功一 木村篤樹 中村恒司 村松成治
レポート作成:NPO法人SECI プレイス
取材:田中やえ/水野昌彦
ライティング/WEB構成:水野昌彦@ideal brands.jp LLC
ライティング監修:清水美也子@Assemblage LLC
主催代表:大村信夫(片付けパパ)